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元旦那が再婚してむかつく夜から、自分の人生を取り戻すまで

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知ったのは、共通の知人からの何気ない一言だった。

胃が痛くなった。眠れなかった。なぜあいつだけ、という言葉が頭の中をぐるぐるした。

離婚を切り出したのは自分だった。あの結婚生活に未練なんてないと思っていた。なのに、なぜこんなに揺れるのか。

元旦那の再婚に怒りを感じた女性たちに話を聞いた。彼女たちの感情は、むかつくという一言では収まらなかった。

目次

新しい家族と旅行した写真が流れてきた日―胃が痛くなった理由

横浜の定食屋。平日の夜、遥は5年前の離婚を振り返った。38歳、会社員。元夫の浩一は離婚後1年もしないうちに籍を入れたらしい。

「再婚したこと自体は、まあそうかって思えたんです。でも子供の写真まで共通の知人から流れてきて」

遥はその日、仕事中に急に食欲がなくなった。

「あの人が新しい家族と旅行してる写真が。私がシングルマザーで毎日必死な時に、向こうは4人家族で楽しそうで」

遥は当時を振り返って、自分でも驚くほど揺れたと言う。

「離婚したのは私が切り出したんです。あの生活に戻りたいわけじゃない。でも許せないって感情が来て、自分でもなぜか分からなくて」

遥はその感情の正体を、後でカウンセリングで言語化した。

「喪失感だったんですよ。あの人が幸せになることで、私の判断が正しかったという証明がなくなる感じがして。私が苦しんでいる間、あの人は前に進んでいたことへの怒りと、一人取り残された孤独感が混ざってた」

養育費の振り込みは時々遅れる。それなのに、新しい家庭は順風満帆に見える。その非対称さが、一番腹が立った。

怒りの正体は、不公平感という名前だった

元旦那の再婚への怒りは、相手への執着とは別物だ。それは多くの場合、不公平感だ。自分は苦しんでいる。子供を一人で育てている。経済的にも精神的にも必死にやっている。それなのに向こうは、また新しい人生を歩んでいる。

遥の友人、美咲は36歳。元夫は不倫相手と再婚した。

「許せないって感情が止まらなくて。不倫した人間が、不倫相手と幸せな家庭作ってる。その理不尽さが、離婚から何年経ってもくすぶってた」

美咲はシングルマザーとしてパートを掛け持ちしていた。その間、元夫は新しい家族のお金がかかると言い出し、養育費の減額を求めてきた。

「勝手に減らそうとするんですよ。取り決めたのに。それをやる神経が分からなくて、弁護士に相談しました」

美咲の子供が、パパの新しいお母さん優しいよと言い出した日があった。

「自分の子供が、他人の家庭で笑顔を見せてる。複雑すぎてイラついたんです。でもその後、子供が悪いわけじゃないって分かってたから、そのイライラの矛先がなくて」

深夜にブロックと解除を繰り返した夜―恵子の怒りが収まらなかった理由

新宿のカフェ。休日の夜、恵子は10年前の離婚を語った。47歳、パート勤務。元夫は浮気発覚後に離婚を求め、浮気相手と再婚した。

「再婚した後、前の子供への面会をほとんど拒否するようになって。今は新しい家族優先だって」

恵子は裁判も考えた。

「父親として責任を取ってって言っても、一蹴されて。夜中に一人で泣きながら、あの人のSNSを見ては消して、ブロックして、また解除して」

再婚相手が妊娠したニュースが届いた日があった。

「胸が締め付けられた。私たちの子供が幼い頃、おむつ替えもしなかった男が、今度は積極的に育児してるって聞いて」

恵子は声を落とした。

「私だけが苦しんで、あの人は新しい人生を楽しんでる。その不公平さがむかつくし、悔しい。でも時間が経った今振り返ると、あの怒りが自分を守っていた部分もあって」

恵子は今、趣味のヨガで気持ちを整えている。

「怒りがなくなったわけじゃないんです。でも怒りに消耗されなくなってきた。それだけは変わった」

離婚後の怒りが、再婚で再燃する理由

時間とともに薄れるはずの怒りが、元旦那の再婚という情報で再燃する。それは、終わったと思っていた物語が、相手の側で続いていることを突きつけられるからだ。

恵子の知人、裕美は46歳。元夫はDVが原因で離婚した。

「再婚した後、表向きは理想の夫を演じてるらしいって聞いて。でも共通の知人から、新しい妻とも喧嘩が絶えないって」

裕美は複雑な感情を持った。

「ちょっとだけ溜飲が下がった。でも同時に、あの人のせいで私に残った傷は消えないんだなって。向こうが繰り返してくれても、私の傷は戻らない」

裕美は続けた。

「DVの後遺症って、長くかかるんです。新しい関係を作ることへの恐怖とか、信頼することへの構えとか。元夫が再婚したことより、自分に残ったものの方が、今でも重い」

再婚相手から連絡が来た日―子供を使った振り回しという理不尽

吉祥寺のカフェ。平日の昼休み、沙耶は元夫の再婚相手からの連絡を語った。32歳、会社員。

「子供に会わせてあげたいって、善意を装ってきたんです。でも私には、元夫の過去を清算したいだけに聞こえて」

沙耶は断り続けた。

「でも子供が成長するにつれて、本当のお父さんに会いたいって言い出して。私が拒否することで、子供を傷つけることになるのかって悩んで」

沙耶の怒りは、元夫への怒りより、この状況への怒りだった。

「再婚した男が、元家族を振り回す。子供を挟んで自分たちの都合を押しつける。その身勝手さが一番むかつくんです」

沙耶は今、子供が父親に会うことを少しずつ認めるようにした。

「私の感情より、子供の権利を優先しようと決めたんです。むかつくのは本当で、今でも心が穏やかじゃない。でも子供は、私の感情のせいで父親を持てないのはかわいそうで」

沙耶は続けた。

「あの人が嫌いなのと、子供の父親が必要なのは、別の話なんですよね。それを切り離すのが、一番難しかった」

子供という存在が複雑にする感情の整理

離婚に子供がいると、元夫への感情が子供の生活と切り離せなくなる。子供が幸せでいることと、元夫への怒りが、矛盾を生む。どちらも本物の感情なのに、両立させることが難しい。

沙耶の友人、彩花は35歳。彼女は自分も再婚した。

「再婚したから過去が消えたわけじゃないんですよ。子供が元夫の新しい家庭の話をするたびに、複雑な気持ちになる」

彩花は少し間を置いて言った。

「でも自分の人生を優先しないと、いつまでも囚われたまま。それだけは分かってて、だから動いた」

「なぜあいつだけ幸せなんだ」という反芻が止まった日

池袋のカフェ。休日の夕方、遥はその後の変化を語った。

「最初は毎晩のように、なぜあいつだけ幸せなんだって考えてたんです。浩一の新しい家庭が頭から離れなくて」

遥はカウンセリングに通い始めた。

「過去を振り返るワークで、浩一との結婚生活を整理したんです。良い部分も悪い部分も。そしたら、私が切り出した離婚は正しかったって改めて分かって」

でも感情は論理的に解決しない。

「頭では分かっても、むかつく気持ちは残るんです。その感情を否定せずに、ただあると認める練習をした感じで」

遥は今、子供が元夫の新しい家庭の話をしても、笑顔で聞けるようになった。

「ママはママの人生を頑張ってるよって言えるようになったんです。むかつく気持ちが完全になくなったわけじゃない。でも、それをバネにするようにした」

遥は仕事で成果を上げ、友人と旅行し、子供と笑う日々を作った。

元夫の影は、まだ時々胸をよぎる。でも以前より軽くなった。軽くなるのに5年かかったけど、それが私のペースだったと今は思う。

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