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学生結婚を分けるのは、若さじゃなくて成熟度だった。10年後の答え合わせ

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学生のうちに結婚する。今の時代、それはかなり珍しい選択です。学生結婚、と検索するあなたは、自分や恋人がその入り口に立っているか、あるいは、無謀なのか後悔しないのか、確かめたいのだと思います。経済、勉強との両立、周囲の反対。壁は確かにある。でも、本当のところ、その選択が正しかったかどうかは、決めた時点ではわかりません。だから今回は、学生結婚をして、もう十年前後たった人たちに会ってきました。時間が経たないと見えない答えが、そこにありました。

最初に会ったナオさんは、三十代の女性です。大学三年生のときに結婚し、今年で結婚十年目になります。落ち着いたカフェで、彼女は当時を、少し懐かしそうに振り返り始めました。

「今でこそ笑って話せますけど、当時は本当に、毎日が必死でした」

目次

周りがキャンパスを楽しむ中、私だけが家事と育児だった

妊娠で頭が真っ白になった日

ナオさんの学生結婚のきっかけは、妊娠でした。

「大学三年の秋でした。付き合って二年の彼との間に、子供ができて。わかった瞬間、頭が真っ白になりました。大学を続けられるのか、親になんて言えばいいのか。毎晩、不安で眠れなくて」

彼の対応が、彼女を支えたといいます。

「彼がすぐに、結婚しよう、俺が絶対に守るって言ってくれて。一緒に親に相談しに行ってくれました。私の両親は、まだ学生なのに、将来どうするんだって、何度も反対しましたけど。二人で責任を持って育てるって、繰り返し話して、少しずつわかってもらえて」

同世代から、ずれていく孤独

結婚生活が始まっても、楽ではありませんでした。彼女がいちばんこたえたのは、経済的な苦労よりも、別のことだったといいます。

「友達がキャンパスライフを満喫してるんですよ。サークルとか、飲み会とか、留学とか。なのに私だけ、つわりと闘いながら授業に出て、家に帰ったら家事と、生まれてからは育児で。同じ大学にいるのに、自分だけ、まったく違う世界にいるみたいで。同世代から、どんどんずれていく感じが、すごく寂しかったです」

若さという、本来いちばん自由なはずの時間を、家庭という責任に差し出す。それが、彼女が引き受けたものでした。

「あの頃は、若すぎたのかな、って思うこともありました。みんなが遊んでるのを横目に、なんで私はこんなに大変なんだろうって」

学生結婚は、人生の順番を崩す選択だった

早すぎる、順番が違う、と言われ続けた

ナオさんに限らず、学生結婚をした人が必ず言われる言葉があります。早すぎる。順番が違う。

別のカップルは、両家から強く反対され、片方の親は結婚式にも来てくれなかったそうです。就職してからにしなさい、と。学生で結婚する人の多くが、この、順番を守れ、というプレッシャーに直面していました。

なぜ、そんなに言われるのか。それは、社会が、学生を出て、就職して、それから結婚する、という標準的な順番を、当たり前の前提にしているからです。学生結婚は、その順番を崩す。だから、レールから外れた、危ういもの、と見なされる。

順番は正解じゃなく、ただの慣習

でも、考えてみると、なぜその順番でなければいけないのか、明確な理由はありません。順番は、効率や安定のための慣習であって、絶対の正解ではないんです。

順番通りに進む人にも、崩す人にも、それぞれにメリットとリスクがある。学生結婚の人たちは、順番を崩すことのリスク、つまり経済の不安定さや、勉強との両立の大変さ、同世代からのずれを引き受ける代わりに、崩すことのメリットも手に入れている。人生のいちばん多感な時期を、二人で一緒に過ごす絆。早い段階で、人生の設計を共有できること。若い体力で、子育てを始められること。

「今になって、その良さがわかるんです」ナオさんは言いました。「あの頃は、順番を崩したことの大変さばかり見えてた。でも、崩したからこそ得られたものも、ちゃんとあったんだって」

問うべきは、順番が違うかどうかではなく、崩した順番に伴うリスクを、二人で引き受ける覚悟があるか、なのだと思います。

でも、本当に試されたのは若さじゃなかった

勢いだけで結婚して、一年半で離婚した

ただ、学生結婚は、全員がうまくいくわけではありません。リサさんは、別の結末を経験した人です。三十代。大学一年生のとき、付き合って半年の相手と結婚し、一年半で離婚しています。

「勢いと、この人しかいない、っていう気持ちだけで決めちゃったんです」彼女は、淡々と話しました。「結婚したら、すぐに価値観のズレが見えてきて。彼、アルバイトをあっさり辞めちゃって、家計は私が支えることになって。友達との時間も制限されて、どんどん孤独になって。一年半で、別居して、離婚しました」

何が原因だったと思いますか。私がそう聞くと、彼女ははっきり答えました。

「若さじゃないんです。あのとき気づいたのは、結婚は、年齢じゃなくて、お互いの成熟度と覚悟なんだって。私たち、二人とも、結婚の重さを引き受ける準備が、できてなかった。それだけなんです」

成否を分けたのは、責任を引き受けた度量

リサさんの話と、ナオさんの話を並べると、見えてくるものがあります。学生結婚の成否を分けたのは、年齢の若さではなく、二人がどれだけ大人だったか、でした。

ナオさんのところは、試験期間になると、夫が家事と夜泣きを、ほとんど引き受けてくれたそうです。

「彼のおかげで、私、単位を一つも落とさずに卒業できたんです。子供が生まれてからも、二人でちゃんと役割を分けて、必死に回して。彼が、責任から逃げない人だったのが、大きかったと思います」

別の男性は、学部時代に結婚し、働く妻に支えられて大学院に進み、今は大学の教員をしています。奥さんがかわいそう、と周りに言われたそうですが、二人は支え合う形を、ちゃんと築いていました。違いは、年齢ではなく、責任をどう分担し、引き受けたか、という成熟度だったんです。

若さとは、生まれ年の数字のことではなく、自分たちの選択の重さを引き受ける度量のこと。二十歳でもそれを持っている人がいて、三十歳でも持っていない人がいる。学生結婚で試されるのは、若さという問題ではなく、その若さで、大人の責任を背負えるか、という一点でした。

十年経って、答え合わせをする

ナオさんに、今、あのときの選択をどう思っているか、聞いてみました。

「子供が小学生になって、最近やっと、少し余裕が出てきたんです」彼女は穏やかに言いました。「友達の中には、三十代で初めて結婚や出産をする人もいて。その子たちと話すと、私たちはもう、十年分の思い出があるね、って。あの頃、必死に積み重ねてきたものが、ようやく形になってきた感じがします」

学生結婚という選択が正しかったかどうかは、決めた時点では、誰にもわかりませんでした。十年経って、子供が育って、同世代がやっと結婚し始める頃になって、初めて、あの選択は私たちにとって良かった、と言える。でも、それは結果論で、当時の自分には、何の保証もなかったんです。

ここに、たぶん、選択というものの本質があります。人生の大きな選択は、正しさが事前にわかるものではなく、選んだ後に、二人でそれを正解にしていく営みなんです。順番を崩したことが、最初から良かったわけではない。崩した順番を、二人で必死に生きて、結果的に良かったと言える場所まで、運んだ。選択そのものより、選択の後をどう生きたかが、答えを作っていく。

ただ、リサさんのように、必死に生きても、答えが、間違いだった、になることもあります。選択の答えは、努力だけでは決まらない。相手との相性や、運も、絡んでくる。それでも、選んだ道を正解にしようとする営みだけは、自分にできることの、すべてなのだと思います。

ナオさんが、最後に、こう言いました。

「学生結婚を勧めるかと聞かれたら、簡単には勧められないです。大変だったのは本当だから。でも、後悔してるかと聞かれたら、してない。あの選択を正解にするために、私たち、十年かけてきたので」

選んだ瞬間に答えが出るのではなく、選んだ後の歳月が、ゆっくり答えを書いていく。学生結婚という早い決断が教えてくれるのは、たぶん、そういうことなのだと思います。

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