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彼氏のことが好きかわからなくなった夜―突然訪れる感覚の正体

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好きだったはずだ。確かに好きだった。

なのに、ある夜から彼の顔を思い浮かべても、胸が温かくなる前に疑問が浮かぶようになった。これでいいのかな、って。

いつからそうなったか、はっきりとした瞬間が思い出せない。気づいたら、そうなっていた。

彼氏のことが好きかわからなくなった女性たちに話を聞いた。その感覚の正体は、彼氏への気持ちだけじゃなかった。

目次

毎晩天井を見つめながら考えていること―2年目に突然訪れた?

吉祥寺のカフェ。平日の夜、美咲は布団の中での夜を語った。31歳、会社員。

「付き合って2年になる彼氏の顔を思い浮かべても、胸が温かくなる前に、これでいいのかなって疑問が先に来るんです」

美咲は最初、大好きだった。彼の優しさも、一緒に過ごす時間も。

「気づいたらこうなってた感じで。喧嘩らしい喧嘩もしてないし、嫌いになったわけでもなくて。でも好きかどうかも分からない」

美咲が一番苦しいのは、別れたいわけじゃないことだ。

「彼の優しい声とか、休日の穏やかさを思うと、別れたいとは違うんですよ。でも結婚して大丈夫かなっていう疑問が消えなくて。この気持ちが何なのか、自分でも整理できなくて」

美咲は友達に相談したが、うまく説明できなかった。

「好きじゃなくなったんじゃないと思う。でも好きかどうかも分からない。その曖昧さの中にいるのが、一番しんどいんですよね」

「わからなくなった」という感覚は突然やってくる

恋愛感情は徐々に変化するはずなのに、気づくのは突然だ。昨日まで普通だったのに、今日気づいたらわからなくなっている。その落差が、余計に不安を大きくする。

美咲の友人、彩花は29歳。彼女は同棲を始めた頃に同じ感覚に陥った。

「顔がタイプじゃないって気になり始めて。職場にイケメンが来て比べてしまったり。喧嘩もなく穏やかな関係なのに、なんでこんな気持ちになるんだろうって自分でも驚いて」

彩花は友達に打ち明けた。好きじゃなくなったわけじゃないけど、好きかもわからないって。

「その言葉を口に出して、初めて自分の状態を認識した気がした。言語化できると少し楽になるんですよね。それが答えじゃなくても」

同棲で現実が見えてきた日―日常が恋愛を上書きした時

渋谷のカフェ。休日の昼、奈々は交際3年目の変化を語った。27歳、デザイナー。

「同棲を始めてから、彼氏感が薄れてきた感じがして。一緒にいるのに、一緒にいる感覚が薄くなってる」

奈々は具体的な原因を挙げられない。ただそうなった。

「結婚の話が出てもピンとこないんですよ。前は結婚したいって思ってたのに。現実が見えてきたのか、慣れすぎたのか、それとも冷めたのか、区別がつかなくて」

奈々は確認してみた。別れたいかどうか。

「別れたいとは思わない。でも結婚したいとも思わない。じゃあ今この関係は何なんだろうって。どこにいるか分からなくなった感じがして」

奈々は続けた。

「日常が恋愛を上書きするって言うか。一緒にいることが自然すぎて、好きって感情がどこにあるか分からなくなる。ドキドキした時期が遠すぎて、あれは本物だったのかとすら思ってしまって」

慣れることと冷めることの見分け方

慣れと冷めは、感覚としては似ている。どちらも高揚感がない状態だ。でも向き合い方が違う。慣れは安心感の中にある状態で、冷めは空虚な状態だ。でも自分の中でその区別がつかない時期がある。

奈々の同僚、真由は32歳。彼女は「慣れだったと後から分かった」と言う。

「わからなくなった時期が半年くらいあって。でも彼が体調崩した時に、自然に心配して。その感情が出てきた時、ああ好きなんだって改めて気づいた」

真由は続けた。

「心配したくなる、とか、泣いた時に見ていられない、とか。そういう感情が残ってるなら、好きは消えてないのかもしれないって、その時思った」

本当の原因は彼氏じゃなく、自分にあった話

新宿のカフェ。休日の夕方、遥は気持ちがわからなくなった時期を振り返った。26歳、会社員。

「好きかわからなくなったって、自分から言ってしまったんです。でも後から気づいたんですよ、原因は彼じゃなかったって」

遥は当時、仕事が激務で心が疲弊していた。

「毎日違う顔を作って、本当の自分がどこにいるか分からなくなってた時期で。彼氏のことが好きかわからないんじゃなくて、自分が誰かわからなくなっていたんだって、落ち着いてから気づいた」

遥は彼氏へのことより先に、自分自身の状態が問題だった。

「疲れてる時って、何もかもが曖昧になるんですよ。好きな感情も、嫌いな感情も、全部ぼんやりして。その状態で好きかどうかを判断しようとしても、答えが出ないんですよね」

遥は仕事の環境を変え、少し落ち着いてから彼氏への気持ちを確認した。

「好きだったんです、ちゃんと。ただ自分が消耗しすぎてて、感じられなくなってただけで」

自分の状態が感情を歪める

強いストレスや疲労は、感情の認知を歪める。本来あるはずの感情が感じられなくなったり、実際より薄く感じられたりする。好きかわからなくなった時、まず自分の状態を確認することが必要な場合もある。

遥の友人、由美は30歳。彼女も同じパターンを経験した。

「転職で激務だった時期に、彼氏への気持ちが分からなくなって。でもその後落ち着いたら、普通に好きだったって気づいて」

由美は続けた。

「あの時別れてたら後悔してたかもしれない。疲弊した状態で出した結論って、本当の答えじゃないことがある。でもその時は本当に分からなかった」

相手の気持ちが読めない不安が積み重なった結果

吉祥寺のバー。金曜の夜、沙耶は付き合って5年の彼氏への複雑な感情を語った。28歳、会社員。

「大学時代から付き合ってて、大好きな相手なんです。でも好きって言ってくれないし、スキンシップも少なくて」

沙耶は不安が積み重なっていた。

「会ってくれてるから冷めてるわけじゃないはずって思うんです。無言の時間も気まずくない。でも心の距離を感じてしまって」

沙耶の不安は、彼への気持ちではなく彼の気持ちへの不安だった。

「大好きなんだけど、不安になりすぎて好きかわからなくなる感じで。これって彼が嫌いになったんじゃなくて、不安で頭がいっぱいになってる状態なんだと思う」

沙耶は少し考えてから言った。

「自分の気持ちと相手の気持ちへの不安が混ざって、全部ぼんやりしてしまうんですよ。好きかどうかを考えたいのに、相手が私を好きかどうかの心配が先に来て」

不安が好きという感情を覆い隠す構造

相手への気持ちではなく、相手からの気持ちへの不安が強くなると、自分の感情が見えにくくなる。好きという感情より先に、不安という感情が場所を取ってしまう。その状態で好きかどうかを確認しようとすると、答えが出にくい。

沙耶の先輩、恵美は34歳。彼女は逆に、相手から突然言われた経験がある。

「メロメロだった彼氏に好きかわからなくなったって言われて、理由が全然分からなくて泣き崩れて」

恵美は後から知った。

「男性はグレーのまま別れることが多いって聞いて、少し納得した。女性は気持ちがゼロになってから別れるけど、男性は曖昧なまま言うケースがあるんですよって」

恵美は続けた。

言われた側は理由が分からなくて一番苦しい。でも言った側も、答えを持っていないことが多いんだって、時間が経ってから理解できた。

好きかわからなくなった時、焦って結論を出す必要はない。一時的な感情の揺らぎなのか、本当に変化したのか。それは時間をかけないと分からないことが多い。

遥は最後にこう言った。

「わからなくなった時期に出した結論は、本当の答えじゃなかった。疲れてたり、不安だったり、そういう状態の時の気持ちって、晴れた後に見ると違って見えることがある。でもその渦中にいる時は、それが全てに見えてしまうんですよね」

彼女はコーヒーを飲み干し、席を立った。外は静かな夜だった。答えはまだ出ていない。でも少し、焦らなくなってきた。

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