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職場をどうでもいいと思ったら、楽になった。それは無責任じゃなくて、線引きだった

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職場の人間関係に疲れきっている。もっとどうでもいいと思えたら、楽になるのに。真面目で、頑張り屋で、周りに気を配りすぎて消耗しているのだ。でも、いざ「どうでもいい」と思おうとすると、それは無責任なんじゃないか、冷たいんじゃないか、逃げなんじゃないか、と罪悪感が湧いてくる。今回、職場をどうでもいいと割り切って楽になったという人たちに、話を聞きました。すると、その「どうでもいい」は、あなたが恐れているような投げやりなものとは、まったく違うものでした。

最初に会ったサキさんは、二十九歳の事務職です。以前は、職場で過剰なほど気配りをしていたといいます。

「みんなに好かれなきゃ、って必死で。誰かが不機嫌だと、私のせいかな、って気にして。頼まれごとは全部引き受けて。もう、へとへとでした」

「どうでもいい」は、無関心じゃなくて線引きだった

全部を等しく大事にして、消耗していた

サキさんが変わったのは、あるとき限界が来て、開き直ったからでした。

「もう、いいや、どうでもいい、って思ったんです。全員に好かれるのなんて無理だし、私がいくら気を配っても、機嫌が悪い人は悪い。そう思ったら、すーっと肩の力が抜けて」

でも、彼女の「どうでもいい」は、仕事を投げ出すことではありませんでした。

「仕事は、ちゃんとやるんです。でも、それ以外の余計な気配りをやめた。必要な仕事にだけ集中したら、逆に成果も上がって。前は、どうでもいいことにエネルギーを使いすぎてたんだな、って」

どうでもいい部分と、大事な部分を分ける

ここが、大事なところです。サキさんが手に入れた「どうでもいい」は、無関心とは違うんです。それは、線引きでした。

何が自分にとって本当に大事で、何がそうでないかを選び直すこと。仕事の成果は、どうでもよくない。でも、全員に好かれること、誰かの機嫌をいちいち気にすること、これはどうでもいい。つまり、職場がまるごとどうでもいいのではなく、職場のどうでもいい部分を、ちゃんとどうでもいいと認識できるようになった、ということなんです。

それまでは、全部を等しく大事にしようとしていた。全員に好かれなきゃ、完璧にやらなきゃ。その過剰さが消耗させていたんです。どうでもいいと思えるようになるのは、無責任になったのではなく、優先順位をつけられるようになったという成熟なんです。エネルギーには、限りがある。だから、本当に大事なところにそれを集中させるために、どうでもいいことを手放す。それは、逃げではなく賢さなんです。

なぜ、職場でどうでもいいと思えなかったのか

自分の価値を、職場の評価に預けていた

では、そもそも、なぜ職場でどうでもいいと思えなくて消耗してしまうのでしょう。その根っこを教えてくれたのが、タクミさんでした。三十二歳の営業マンです。

「僕、評価に執着してたんです。上司に認められたい、同僚に負けたくない、って。査定の一言に一喜一憂して。評価されないと、自分は価値のない人間なんじゃないか、って不安で。それで、ずっとストレスを抱えてました」

彼の消耗の根っこには、職場での自分の価値イコール周りの評価、という思い込みがありました。評価されないと、自分の存在価値が脅かされる気がする。だから、些細な一言に傷つき、消耗する。

楽になったのは、価値の置き場所を移せたから

職場は、人生のほんの一部にすぎない

タクミさんが楽になったのは、ある気づきからでした。

「あるとき、思ったんです。評価なんて、上司の気分とか会社の都合とかで変わるもので、自分ではコントロールできない。そんなあやふやなものに、自分の価値を預けてるのがばからしくなって。評価はどうでもいい、自分が成長できてるかどうかだけ見よう、って」

これは、こういうことです。どうでもいいと思えるようになるとは、実は、自分の価値を職場の評価から切り離せた、ということなんです。

価値のものさしを、職場の外に持ち替える

あなたの価値は、職場での評価で決まるものではありません。職場は、あなたの人生のほんの一部にすぎない。あなたには、職場の外に、家族や、友人や、趣味や、あなただけの時間がある。そこに、あなたの価値の本当の置き場所があるんです。

飲み会や噂話や派閥に疲れていた、ユカさんという二十七歳の販売員の方も、こう言っていました。

「職場の人間関係が、私の世界の全部じゃない、って気づいたら、楽になったんです。会社の外に、大好きな友達も趣味もあるし。職場は、お金を稼ぐ場所、って割り切ったら、噂話とか派閥とか、心底どうでもよくなって」

この、価値の置き場所を職場の外に移せたとき、職場の些細なことが、本当にどうでもよくなるんです。楽になったのは、冷たく割り切ったからではなく、自分の価値を測るものさしを、職場の評価から自分自身の人生に持ち替えたから。だから、職場がどうでもよくなることは、あなたが自分を大切にし始めたサインなんです。

ただし、「どうでもいい」の落とし穴もある

全部を切り捨てると、孤立や質の低下に

ただ、正直に言っておきたい注意点があります。どうでもいい、という言葉は便利ですが、行き過ぎると諸刃の剣になります。

全部をどうでもいいにしてしまうと、本当に必要な関係や成長の機会まで切り捨ててしまう。信頼できる同僚とのつながりも切ってしまって孤立したり、仕事への興味まで失って質が下がったり。だから、大事なのは、何もかもどうでもいい、ではなく、どうでもいいことと大事なことを、ちゃんと見分けることなんです。

サキさんも、タクミさんも、ユカさんも、仕事の成果や、本当に信頼できる数人との関係は手放していませんでした。手放したのは、全員に好かれること、評価への執着、噂話、といった、消耗するだけの部分だったんです。

荷物を下ろして、本当に持ちたいものだけを選ぶ

職場をどうでもいいと思って楽になるのは、無責任でも逃げでもありません。線引きと、自分の価値の置き場所を移すという成熟です。だから、罪悪感を持たなくていい。

ただ、その見分ける基準は、人それぞれで、時期によっても変わります。今、あなたが消耗しているなら、まずは、明らかにどうでもいいことから手放していい。全員に好かれようとするのをやめる。噂に一喜一憂するのをやめる。でも、いつか心に余裕ができたら、本当に大事にしたい関係や、仕事の面白さも、また少しずつ拾い直せばいいんです。

どうでもいい、は、永久に全部を切り捨てることではありません。今の自分を守るために、一時的に重い荷物を下ろすことなんです。荷物を下ろして身軽になったら、その中から、本当に持っていきたいものだけを、また選んで持てばいい。楽になったその先にあるのは、何にも興味の持てない無関心の荒野ではありません。自分で選んだものだけがある、すっきりと片付いた場所なんです。だから、どうか安心して、まずは、あなたを消耗させているその荷物を下ろしてください。あなたがあなたらしくいられることのほうが、職場の誰かに好かれることより、ずっと大切なんですから。

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