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いじりが不愉快なのに、つい笑ってしまう。その笑顔は、同意のサインじゃない

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いじられるのが、不愉快だ。でも、それを口に出すと、冗談なのに、気にしすぎ、ノリが悪い、と言われそうで、結局、笑って、流すしかない。

今回、いじられて、ずっと不快だった、という人たちに、話を聞きました。彼らの経験から、いじりが、なぜ、こんなにも、対処しにくいのか、その、たちの悪い仕組みが、見えてきました。

最初に会ったサオリさんは、二十八歳の事務職です。部署の先輩たちから、いつも、あるいじりを、受けていたといいます。

「沙織ちゃん、真面目すぎ、って。最初は、笑って流してたんです。でも、毎日のように、もっと笑えよ、そんな顔してると損だぞ、って続いて。だんだん、不愉快になってきて」

目次

不快なのに、笑って流すしかなかった

伝えたら、雰囲気が悪くなった

限界が来たのは、仕事で、ミスをしたときでした。

「先輩の一人が、笑いながら、ほら、いつも真面目ぶってるからだよ、って言ったんです。それで、思い切って、いじりのつもりかもしれませんが、ちょっと傷つきます、って伝えました。そしたら」

そこで、彼女の表情が、曇りました。

「一気に、雰囲気が、悪くなったんです。空気が、凍って。それ以来、その先輩たちとは、距離ができて。後で、他の同僚に、あの先輩、悪気はないんだけど、境界がわからない人だよね、って言われて。でも、悪気がなければ、傷つけていいのか、って、モヤモヤしました」

気にしすぎな自分が悪いのか、と責めた

サオリさんが、いちばん苦しかったのは、自分を、責めてしまうことでした。

「伝えたことで、場を、白けさせちゃったのかな、って。私が、真面目すぎて、冗談を、冗談として、受け取れないだけなのかな、って。これくらいで傷つく私が、心が狭いのかも、って、自分を、責めたんです」

不快なのに、抗議すると、こちらが、悪者になる。だから、笑って、流すしかなかった。この、いじられる側の、飲み込んだ痛みと、自己疑念は、多くの人が、共通して、抱えていました。でも、それは、彼らが、弱いからでは、ありませんでした。

いじりは、笑いという鎧を着た攻撃だった

抗議すると、笑いを壊した、で責められる

いじりが、なぜ、これほど、対処しにくいのか。それは、攻撃が、笑い、という形式に、包まれているからです。

普通の悪口なら、ひどい、と、まっすぐ、抗議できます。でも、いじりは、冗談、笑いのネタ、という体裁を、とっている。だから、不快だ、と、表明すると、あなたは、攻撃されたこと、そのものではなく、笑いを、壊したこと、で、責められるんです。冗談なのに。気にしすぎ。ノリが悪い。サオリさんが、伝えたときに、空気が凍ったのも、これでした。

抗議を封じる仕組みを、最初から持っている

ここに、いじりの、いちばん、たちの悪い構造が、あります。いじられる側は、二重に、縛られるんです。

一つは、傷つけられること、そのもの。もう一つは、それに、抗議すると、場を、白けさせた、悪者に、されること。いじりは、笑い、という鎧を、着た攻撃で、抗議を、封じる仕組みを、最初から、備えている。だから、あなたが、いじりを、不快だと、感じながら、笑って、流すしかなかったのは、あなたが、弱いからでも、気にしすぎだからでも、ありません。抗議しにくいように、できているものに、抗議、できなかった、というだけ。それは、あなたの、責任では、ないんです。

あなたの笑顔は、同意じゃなかった

いじる側の人は、たいてい、こう思っています。相手も、笑ってるんだから、楽しんでる。合意の上だ、と。でも、ここに、大きな、誤解が、あります。

傷ついてるのに、笑うしかなかった

いじられる側の、その笑いは、多くの場合、同意では、ないんです。タクヤさんの話が、それを、教えてくれます。二十五歳の大学生。サークル仲間から、体型を、いじられていた人です。

「最近太った、って、繰り返し、からかわれて。僕、ちょうど、ダイエット中だったんで、心が、折れそうでした。飲み会で、またおかわりするの、太るぞ、って、大笑いされて。やめてほしい、って、小さい声で言ったのに、冗談だよ、気にするな、って、スルーされて」

それでも、彼は、その場では、笑っていたそうです。

「笑うしか、なかったんですよ。笑わないと、場が、凍るし、もっと、いじられる。ノリが悪い、って、思われる。だから、必死に、口角を、上げてました。でも、内心は、全然、笑ってなかったです」

傷ついているのに、笑うしかない。その笑いは、楽しんでいる証拠では、なく、必死に、耐えている、サインだったんです。同じように、部活で、声が小さい、また失敗したの、と、いじられ続けた女性も、笑ってごまかしていたけれど、内心では、自信を失い、練習が、苦痛だったと、話していました。

いじる側は、その笑いを同意と誤解する

だから、もし、あなたが、誰かを、いじっていて、相手が、笑っているとしても、それを、同意と、受け取らないでください。

見るべきは、笑っているか、どうかではなく、その笑いが、心からの、ものか、それとも、こわばって、いないか。目が、笑っているか。口だけが、笑っていないか。もし、少しでも、迷ったら、やめておく。相手の、敏感な部分に、触れそうなら、踏み込まない。それが、相手を、大切にする、ということだと、思います。いじられる側の、防衛的な笑顔を、同意と、読み違えることが、無自覚な、加害の、始まりなんです。

親しみのいじりと、嫌がらせの境界

もちろん、すべての、いじりが、悪いわけでは、ありません。心を許した相手との、軽口が、関係を、深めることも、あります。では、親しみのいじりと、ただの嫌がらせの、境界は、どこにあるのでしょう。

敏感な部分、力の差、やめてを聞くか

いくつかの、目安が、あります。

一つ目は、相手の、敏感な部分を、突いていないか。容姿、失敗、家族、コンプレックス。その人が、気にしているところを、笑いのネタにするのは、いじりではなく、いじめに、近づきます。二つ目は、力関係が、対等か。上司から部下へ、集団から一人へ、という、いじりは、特に、危険です。立場が下の人は、抗議、できないからです。会議で、部下の前で、上司をいじる、という話も、ありましたが、権力の差がある関係でのいじりは、逃げ場が、ありません。三つ目、そして、いちばん、大事なのが、やめて、と言われたら、すぐ、やめるか。

やめて、と言われても、続けるのは、もう、いじりでは、ありません。それは、相手の、意思を、無視した、嫌がらせです。愛情のある軽口なら、相手が、嫌がった瞬間に、ごめん、と、引く。引けないなら、それは、最初から、愛情では、なく、自分が、笑いたいだけの、自己満足だったんです。

伝えることは、相手を見極める、試験紙でもある

いじりが不愉快なのは、あなたが、弱いからでも、気にしすぎだからでも、ありません。笑いに、包まれた攻撃で、抗議しにくいように、できているから。そして、あなたが、笑って流してきたのは、同意ではなく、防衛だった。だから、不快なら、それを、感じていいし、我慢し続ける、義務も、ないんです。

ただ、正直に言えば、その不快を、どう伝えるか、そもそも、伝えるべきか、は、簡単では、ありません。伝えれば、サオリさんのように、雰囲気が、悪くなることも、ある。関係が、壊れるリスクも、ある。でも、伝えないと、我慢は、積もって、自分が、すり減っていく。この、伝えることのリスクと、我慢し続けるコストの、間で、どちらを選ぶかは、相手や、状況に、よります。

ただ、一つだけ、言えることが、あります。伝えて、雰囲気が悪くなる相手なら、それは、たぶん、あなたを、大切にしていない相手だ、ということです。本当に、あなたを、大切に思う相手なら、あなたが、不快だと、知った瞬間に、やめてくれる。だから、伝えることは、抗議であると、同時に、その相手が、あなたにとって、どういう人かを、見極める、試験紙でも、あるんです。伝えた結果、やめてくれる人は、大切にすればいい。逆ギレしたり、気にしすぎだと、責めたりする人からは、距離を、置いていい。

あなたには、笑い、という鎧を、着た攻撃に、いつまでも、耐え続ける義務は、ありません。不快なものを、不快だと、感じる、その感覚を、まず、あなた自身が、信じてあげること。それが、すべての、始まりなのだと思います。

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